【義風堂々 直江兼続 -前田慶次月語り-】紹介

 

 

義風堂々 直江兼続 -前田慶次月語り-』(ぎふうどうどう なおえかねつぐ -まえだけいじつきがたり-)は、原作:原哲夫堀江信彦、作画:武村勇治による日本漫画作品。

 

 

 

あらすじ

刻は戦国末期、地は出羽国米沢(上杉領)-----。
星々が恥じらうほどの真円の月が悠然と浮かび、その足元には常森の地が広がる。
その一角、大野澤太郎兵衛の屋敷では盛大な祝宴が催されていた。
太郎兵衛屋敷の新築祝いに祝い踊る武士たち。
華やか極まる座敷の奥、凄白に佇む坊主が一人。「満つれば・・・・欠くる・・・か。」
そう独りごちると、つるりと頭をひと撫でして大黒柱の前へ進み出で、手斧を天高く振り上げた!
「ズン!」
太郎兵衛が止める間もなく撃ち込まれた手斧は、大黒柱に深く食い込んでいた。
涙ながらに訴える太郎兵衛。
すると背後に現れたのは領主、上杉景勝が重臣「直江兼続」。
―慢心を戒める為じゃ―
太郎兵衛に大黒柱の傷の真意を告げる。
「・・・わしのセリフが無うなってしもうた。」
この坊主の正体こそ、天下の傾奇者「前田慶次」。

・・・・

夜は更け、ふたりは月の浮かぶ屋敷の縁側に出て、語り合う。
この二人こそ、群雄割拠の戦国時代に上杉家の存亡を掛けた死闘の渦の中で「義」に生き抜いた。
「しばし物語るかね・・・我ら二人のことを」
「ああ、いたそう。心のままに酒語りと・・・」

月に興じて、盃を交わす----



天正16年 京―
直江兼続は上役に呼び出された。
「後妻(うわなり)打ちに立ち会ってほしい」
  「後妻(うわなり)打ち」とは、離婚した妻が後妻と行う女同士の形式上の喧嘩である。
  この喧嘩には仲裁のための仲人が必要であった。
家臣の不始末とはいえ、兼続が出張るには理由があった。
この後妻打ちに天下のいくさ人、前田慶次が助っ人に付いていたのである。
兼続と慶次には因縁があった。
森 長可(もり ながよし)の軍勢と春日山城で向かい合った時―
前田慶次が上杉陣に放った必殺の一矢を打ち落としたのが直江兼続であった。

上杉の忍、次郎坊の情報によって、茂助を伴い兼続が向かったのは京の遊郭西洞院~。
迎えたのは琵琶の奏。
ベベン、ベン
慶次の座敷に踏み込んだ兼続は背後に立つ。
だが、兼続は座り込み酒を飲み始めた。
かまわず琵琶を弾き続ける慶次―
ふたりは何も語らなかった・・・。
だが突然琵琶の音色が変化した。激しく琵琶を打ち鳴らし、凄まじい殺気が溢れ出す。
刀を強く握り鍔に指をかける兼続もまた、呼応するように殺気を放つ。

琵琶が鳴りやんだその瞬間、襖が蹴破られ虎となって襲い掛かる三人の浪人達・・・!
慶次は振り向きざま琵琶の撥を真一文字に振る!
血しぶきを上げながら二人が倒れ、残った一人が刀を振り上げた刹那、兼続が一太刀で切り伏せた。
兼続の背後に浮かび上がる毘沙門天

そのまま二人は見合う―

名乗りもせず、西洞院を去る兼続と茂助。
「・・・今日は慶次殿の義を見ることができた。」

琵琶の音色のなか、”兼続と慶次”に「義」の華が舞う。

 

 

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概要

本作は『花の慶次』のスピンアウト作品にあたる。同作で作画を担当した原が描き切れていなかったと語る前田慶次の莫逆の友・直江兼続の物語で、当時の担当編集者の堀江にアイディアをもらいつつ共同原作の形態を取って誕生した。

隠棲した慶次が語り手として若き日の兼続(樋口与六)のことを回想する、という形式を取っている。