【ベルサイユのばら】紹介

 

ベルサイユのばら』は、池田理代子による日本漫画作品。

 

 

あらすじ

1755年、ヨーロッパの3つのちがった国々に、やがてフランスベルサイユで宿命的なであいを持つことになる3人の人間が生まれた。

1770年春。オーストリア帝国ハプスブルグ家の皇女マリー・アントワネットは14歳でフランスのブルボン家に嫁いできた。王太子妃を護衛するのは近衛士官オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。彼女は由緒ある将軍家の末娘でありながら、後継ぎとして剣も学問も修め、軍人として育てられた男装の麗人だった。異国の宮廷で孤独をつのらせるアントワネットはパリ・オペラ座の仮面舞踏会でスウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵と知り合い恋におちる。3人は共に18歳。運命の出会いの夜だった。

国王ルイ15世が逝去して孫のルイ16世が即位した。アントワネットはついにフランスの王妃となった。自己の栄達ばかりを願う人々に取り巻かれて、おしゃれで遊び好きな王妃の浪費ぶりは、国家の財政難に拍車をかけていく。重税と貧困にあえぐフランス民衆の非難の目はオーストリア生まれの王妃に向けられ、折からのフェルゼンとの不倫の噂は一層その憎悪をあおりたてた。道ならぬ恋に苦しむ二人を見守るオスカルもまた秘めたる愛に耐えていたが、オスカルはそんな自身に身分ゆえに恋い焦がれるアンドレの想いに微塵も気づいていなかった。

宮廷中の貴婦人たちの憧れの的、オスカルの初めての恋、王妃の恋人フェルゼンへの想いは叶うことがなかった。彼女の悲しみをそっと見守るオスカルの乳母の孫アンドレ・グランディエ。2人は幼い時から兄弟以上に魂を寄せ合い、青春のすべてを分かち合って生きてきた。そして、いつしかアンドレはオスカルを深く愛していた。その頃、貴族の屋敷を襲う"黒い騎士"と名乗る盗賊を捕えたオスカルは、その男から民衆の不満の高まりを思いしらされる。不穏な社会情勢は次第に緊迫してきていた。

黒い騎士ベルナールらの訴えでパリ民衆の悲惨な状態を知ったオスカルは王宮守護の近衛隊を辞め、衛兵隊を志願した。貧しくすさんだ荒らくれ男たちと格闘の末、心を開かせ部隊を掌握したオスカルに父の将軍は結婚話を持ちかける。1789年5月5日。僧侶、貴族、平民からなる三部会が開かれた。国王・貴族と平民議員の対立は激化し、革命の色を帯びていく。7月13日、衛兵隊にパリ出動命令が下った。オスカルは暴徒に襲われた際に思わず"私のアンドレ"と口走って初めて長年影のように添い愛し続けてくれたアンドレを自身も愛していることを悟り、漸く彼の想いを受け入れる。出動前夜、永遠の愛を誓い2人は結ばれた。

フランス人民は自由・平等・友愛を旗印に雄々しく立ち上がり、革命の焔は全土に燃え広がっていく。オスカルと衛兵隊は民衆側につき、国王軍と闘う決心をする。激しい戦闘のさなか、アンドレが、次いでオスカルが銃弾に倒れた。1789年7月14日。バスティーユ陥落。民衆の勝利の歓声のなかでオスカルは静かに息絶えた。革命軍は、ベルサイユから国王一家をパリに移し監禁した。幽閉された王妃アントワネットの前にフェルゼンが現れた。革命の嵐の中で一瞬の生を悔いなく生きた恋人たちの物語。

 

 

 

 

 

概要

1972年21号から1973年まで『週刊マーガレット』(集英社)にて連載。フランス・ブルボン朝後期、ルイ15世末期からフランス革命でのアントワネット処刑までを描いている。前半はオスカルとアントワネットの2人を中心に描き、中盤以降はオスカルを主人公として、フランス革命に至る悲劇を描いた。

宝塚歌劇団による舞台化の大成功が作品のヒットに拍車をかけ、テレビアニメ劇場版アニメなどが制作されて社会現象化した。2010年現在も新作劇場版アニメの制作が進行しており、パイロットフィルムが公開されている。

オーストリア作家シュテファン・ツヴァイク小説マリー・アントワネット』に感銘を受けた池田が、同小説を(史実部分の多くは訳文から)参考にして描いた作品。作中で描かれたオスカルのフランス衛兵隊ベルサイユ常駐部隊長時代の軍服は、フランス革命期のものではなく、より豪華絢爛なナポレオン帝政期のものを基にしたとされている。

新書版・文庫版・愛蔵版など多くの単行本が発売され、現在は2005年から2006年にかけて刊行された完全版コミックスが発売中。

2014年8月25日に集英社から40年ぶりに新エピソードの単行本が発売される。『新エピソード』ではアンドレ編を15ページ加筆。更に2014年7月1日にマーガレットコミックス1 - 10巻を復刻発売した。